大山の周辺には、饅頭石が、各所で産出します。鳥取県で、饅頭石を探しておられる方がいまして、何カ所かの産地を、新たに見付けておられました。写真は、その一つの産地でした。私は、天然記念物級の露頭と言うことで、鳥取県に報告しておいたのですが、このほど、緑化工事が行われ、露頭は完全に覆い隠されてしまいました。せめて、露頭の一部を保存しておいて欲しかったのです。これで、この露頭は、当分の間、眠りについてしまいました。
考え方を変えれば、覆い隠されたことにより、乱掘されずに露頭が保存され、饅頭石にとっては、良いことなのかも知れません。しかし、これだけの大露頭を発見された人には、何の名誉もなく、終わってしまいました。残念なことでした。
ところで、この饅頭石の露頭で、私は、その成因をほぼ突き止めることが出来ました。少なくとも、軽石を核としてアルミナが濃集した物でないことは確かになり、化石であろうと推測できる証拠を見付けることが出来ました。おそらく、今後、これだけの露頭が見つかることはないでしょう。