この「くいちがい石」の大きさは、高さが7センチ。ここでは、「えくぼ石」もたくさん出る。他には、正珪岩の礫もある。これらは、また次の機会に。
でも、富山県で出る正珪岩と較べると、見場は良くないけど。また、どう言う訳か、正珪岩の出る礫岩層には、くいちがい石が良く出るようだ。
成因については、断層によって食い違い、その摩擦熱で溶融してくっついたと言う説が定説の様になっていた。でも、それは、実地も調べられていないし、幾つかのくいちがい石を観て立てた説。その点、僕は、実地に観察して、採集した石は数100個にも及ぶ。そして、得た結論は、礫岩層の不等鎮圧による歪力により破断したと考えた。もちろん、その客観的証拠もたくさん集めた。
礫岩層は、色々な粒子の大きさの礫からなっている。粘土、砂、礫、水、空気、有機物などが堆積した物。これに鎮圧が掛かると、各々収縮率が違うから、層内各所に歪みが起こる。ある物は、礫と礫が押し合い、テコの原理で、さらに歪力は大きくなる。そして、礫は破断する。これは、堆積時の早い段階で起こる。だから、薄い礫岩層では、歪力の発生は少ない。厚い礫岩層では、歪力も大きくなるから、くいちがいが起こりやすくなるし、また、くいちがいも大きくなる。そして、岩石化続成作用により接着する訳である。
これをある雑誌で発表したけど、まだ、あまり認知されてないみたい。断層で食い違ったら、摩擦熱が発生、それで融着するなんて、そんな事は起こりえないだろう。たった、ほんの少しずれたくらいで、1000度以上の発熱が起こるとは、とうてい考えられない。確かに、断層面で切れている石もあるが、それは、くいちがっているだけで、採ると外れてしまう、続成作用を被っていないから。この石だって、真っ直ぐに食い違っていない、捻れている。また、片一方は、ずれているが、裏側はずれていない物もある。露頭においては、くいちがい面には、断層面は無い。
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