5月30日に採集した、五日市の玄能石の検討をしました。
標本の長さは、16.5cmです。
私は、玄能石の形が鉱物学的規則性がなく、その組成も均質一定でなく、とても鉱物とは考えられず、また、玄能石の生痕化石や覆瓦状骨片結合組織の発見から、「ナマコの体腔化石」であると主張してきました。今回の五日市の玄能石は、玄能石が鉱物でなく、生物であることを如実に表した標本と言えます。
今まで、私の見た玄能石は、確かに、「鉱物としか考えられない」と言われれば、そう見えるなという物が殆どでした。中には、幾つかの、確実に鉱物とは考えられない型もありましたが、「偶然の形」と言われてしまえば、それまででした。これは、世界の趨勢が、玄能石は鉱物説でしたから、仕方のない結果ではありましたが、誰か一人くらいは、「玄能石は鉱物ではない」と主張する学者がいても、不思議ではありませんでした。勿論、論文などを読んでいますと、幾つかの疑問を提唱されてはいましたが、結果的には、鉱物説に傾いていたようです。
さて、この標本が、鉱物でないという根拠は、この拡大写真でお分かりの通りです。
つまり、結晶面という平面で無く、曲面で構成されていること。結晶軸が見当たらないこと。今まで、條線と言われていた物が、単なる「シワ」であることも分かります。
伸縮する物、例えば「蛇腹」で考えてみると、伸長しているときは、ほぼ平面をしています。そして、収縮すれば、折り目から折り曲り、大きなシワが出来ます。これは玄能石の様々な形、すなわち、等軸晶系から三斜晶系に至るまで様々な結晶系を示すこと、條線とは言えない多様な切れ込みのある事など、全て、「伸縮」で解決するのではと考えます。
さらに、詳しい事は、雲根誌21に近いうちにUPする予定です。