菊花石のBBSに、石博翁さんから、菊花石状霰石の写真がUPされました。
そして、この霰石を切断した物です。
モロッコ産の霰石ですが、これを見ていると、本当に、菊花石が霰石と思ってしまいそうです。しかし、詳細に見てみると、少し、菊花石とは違います。
私は、菊花石が鉱物でないとしている根拠の一つに、複数の菊花石が接近しても、ある距離を置いて、接合しないことを上げています。ところが、この霰石も、この特徴を備えているようですから、この根拠が崩れそうです。
そこでこの霰石を説明する前に、結晶の成長を考えてみます。
左端の図は、固体相の母岩に、小さな結晶が誕生したところです。その周囲は、結晶成分と粘土成分を含む液相です。この結晶は、液相から成分が供給され成長していきます(矢印)。当然、母岩からは、成分の供給がないわけですから、図の右へ進んでいきます。それを、一応分かり易くするために着色してあります。
右端の図は、母岩からも、成分が供給されたと考えれば、筍のように成長するわけですが、このようなことは、起こりません。
この図は、結晶が成長して、お互いに衝突したときの様子を表しています。ちょっと、いい加減な図ですが、そこは、お許し願うとして、結晶成分がどのようにして供給されるかと言うことを、考えていただきたいのです。
当然、ぶつかったところは、結晶成分の供給が途絶えるのです。それで、もちろん、その部分の成長は止まります。それで、片一方の結晶が、もう一方の結晶の中を、突き抜けると言うことはないはずなのです。
そこで、霰石の話に戻ります。
菊花状の霰石が成長して、接近してきます。当然、ぶつかったところ、競り合ったところは、結晶成分の供給がないわけですから、成長が止まってしまいます。また、閉鎖空間が出来たところには、溶液が取り残され、その結晶成分が消費された後、残った溶液から、粘土鉱物が晶出します。これが、この霰石の成因ではないでしょうか。
そして、この霰石と菊花石の違いは、もちろん、その形にもありますが、やはり、最大の相違点は、菊花石の場合は、一定の距離を保って、接近しないと言うところにあると思います。
また、たとえ、接合していても、それが、鉱物的でないのです。
石博翁さん所蔵菊花石です。