鉱物結晶は、当たり前ですが、その成分の供給がなければ、成長しないのです。
そこで、もう一度、菊花石が鉱物結晶だとして、考えてみました。当然、菊花石の中心から、結晶の成長が始まったであろうと言うことは、形からして間違いありません。
この菊花石は、私が菊花石は鉱物でないという証拠として、いつも、使わせていただいている石博翁さんの石です。この写真だけを見れば、菊花石は鉱物でないと、誰しも思われるでしょう。
先ず、結晶が始まった中心部を見てみます。この部分は、お互いに競り合って、成長するわけですから、隣同士の結晶は、ほぼ密着しているはずなのです。ところが多くの間隙があり、そこで、結晶の成長が止まると言うことはないはずです。
そして、さらに花弁が成長し、隣接する結晶から干渉を受けなくなれば、その結晶自体の自型結晶になるはずですが、それどころか、さらにラッパ状に成長していくのです。
これは、ラッパ状にまではいっていませんが、柱状ではありません。
菊花石が結晶であれば、このような形になるはずです。しかし、よく見ますと、柱状結晶ではありません(研磨の仕方にもよりますが)。
もう一つ、重要なことがあります。菊花石が生成したときは、溶液の中ではなく、未固結の輝緑凝灰岩の中でです。となると、霰石は、鉱物粒子(または、岩石の粉末)を除外して(押しのけて排除)結晶したことになりますが、このような事は不可能だと思います。また、母岩から成長した半球状の菊花石が、全球状の菊花石よりも多量に存在していても不思議でないのに、ほとんど見かけないのです。
菊花石を鉱物と考えると、このように、多くの矛盾点があるのです。
そして、花弁の形ですが、このような様々な形の花弁が、同じ、一つの菊花石に含まれている物がある事から、全ての菊花石が同じ種類(除く、オニヒトデ型 )であることは、間違いないでしょう。