東京からの帰り道、上田市に立ち寄りました。その目的は、私が今まで集めた玄能石の中から、博物館級の標本を上田市立博物館に寄付するためです。
その一つ一つには、様々な特徴を持つ物を集めました。特に、鉱物にあまり詳しくない人にも、良く解るように、結晶の形の違う物を取り揃えました。例えば、錐面の違いです。最も、鋭角なのが、五日市の玄能石です。
そして、最も、鈍角なのが、越戸の玄能石です。
この2点を観て頂いても、玄能石が鉱物であることに疑問を持たれることでしょう。このような物が集めてありますので、いずれ公開して頂けることでしょうから、その時は実物を、是非ご覧下さい。
ところで、私が、なぜ、今まで集めた一級品を、上田市立博物館に寄付するかと言うことです。確かに、この博物館は一地方の小さな博物館で、しかも、地学には、大きなウエイトを置いていません。しかし、上田市は、越戸や伊勢山などの、玄能石の日本屈指の産地です。
それに、
小太郎さん という、地元の熱心な方が居られたと言うことも、大きいと思います。
それで、上田市で採れた石は、上田市に置くのが最良と考えたのです。
私の希望は、越戸や伊勢山は、天然記念物に指定され、上田市の自然遺産として保存されることです。また、上田市のこれら産地から、玄能石の成因を示す証拠が、たくさん発見されることです。
そして夢が、上田市から、世界最大級の玄能石が、発見されることです。
午後からは、小太郎さんの案内で、玄能石の産地回りです。特に、焼餅石と呼ばれている物が見たいとお願いしておきましたので、色々と下調べをしてくださいました。
これを、最初、観たときは、何か、全く見当が付きませんでした。このような物が露頭に幾つか付いています。どうも、非常に保存の良い化石のようです。覆瓦状構造までもあって、これは、ナマコの化石に間違いないでしょう。しかも、内蔵までも保存されています。ナマコの化石であると確認できれば、世界でも、これだけ完全な物は無いでしょう。
次に案内して頂いたところが、やはりお願いしておいた「黄鉄鉱を含むノジュール」の出るところです。前日の雨で川が増水、露頭が水の下です。それでも、川に入って採集します。玄能石型のノジュールもあり、しかも、覆瓦状構造までも認められます。これも、私の想像していた通りの結果が出てきました。