緑マンは、酸化して黒化すると言うのは、常識、もしくは定説です。外国でも、そう考えられているのでしょうか。でも、僕は、緑マンは、そう簡単には黒化しないと考えているんです。
この石は、放置したために、少し黒化しています。この石を割ってみると。
確かに、緑マンは綺麗です。しかし、母岩の菱マンガン鉱も、より黒くなっている事が分かります。
これから考えて、緑マンよりも、むしろ、母岩が黒くなったと考えるべきでしょう。
母岩の菱マンが、これだけ黒化しても、まだ、緑マンは緑色を保っています。特に下の写真は、ほとんど変色していない部分もあります。この事実は、今まで常識のように思われていた事実が、間違っている事を示しているでしょう。
つまり、緑マンと言っても、大部分は、菱マンガン鉱との混合物です。しかも、緑マンと仲の良い、微粒のパイロクロアイト(キミマン鉱)が含まれているようです。パイロクロアイトは、元々白色ですから、新鮮な時は含まれていても分かり難いです。それが酸化すると褐色から、暗褐色のファイトクネヒト鉱に変化します。この鉱物が黒化の原因と思われます。写真は、まさに、その状態を示しています。
良く、「緑マンの結晶は黒化しにくい。」と言う事が言われていますが、これは、緑マンが100%で、パイロクロアイトを含んでいないためですね、きっと。
で、緑マンを鮮やかな緑の状態で保存すると言う事は、パイロクロアイトを酸化させないと言う事になります。そのためには、無酸素状態にする事です。色々と方法があると思いますけど、僕は2種類の方法を用いています。その一つが、ガラス板を張り付ける方法です。
この標本は、徳島県立博物館にあるので、見たい人は、そちらにどうぞ。
こうする事に、産状も良く分かり、当分の間は、緑色は保つでしょう。既に一年経ちましたが、今のところ変化はありません。もし、黒化したら、再び、研磨する事で、元に戻せます。
自然の唯一の物を、末永く、皆に見て貰おうと考え、製作、寄付しました。でも、ただ接着剤で貼れば良いと言う簡単な物で無い事は申し添えます。
こんな事は、僕みたいに、ちょっと観察したら簡単に分かると思います。また、少しでも矛盾があったら、考えてみたら良いと思いますけど、それを「不思議だ」で終わらせているのは、やっぱり、あれででしょうか。