広島県の方から、送っていただいた球顆流紋岩です。
結構、綺麗な球顆流紋岩です。良く観ると、球顆の母岩は流紋岩ではなく、玻璃質です。しかし、この母岩は、松脂岩とは呼べないようです。
京都府や兵庫県、長野県の球顆の入っている母岩は、全て、玻璃質の流紋岩(松脂岩を含む)です。球顆が大きくなる要因が、母岩である玻璃質流紋岩の特性にあるのです。
最も、粘りのある酸性岩中を、球顆が移動、集合し、大きくなって行くのです。
これは、日光寺峠の球顆です。何方かが、割って、捨てられたものです。
この球顆を見ますと、その歴史が分かるのです。小球顆が集まり、大きくなって行きます。そして、算盤玉型の空洞が出来、そこへ珪酸分が侵入、さらにその後、硫化鉄を含んだ珪酸分が侵入し、算盤玉石が完成したことが分かります。
算盤玉石が、淡青色の蛋白石のことがあります。この着色の原因は、微細な黄鉄鉱を含むためと思われます。日光寺峠では、透明から、淡青色、黒色の物まで有りますが、これは、黄鉄鉱の含有量によるものでしょう。
何気ない石でも、その歴史が全て、織り込まれているのです。本当に、石は楽しいものです。
ついでに、染め玉髄に付いてです。青、赤、緑、黄、黒などに染められた玉髄が売られています。これは、玉髄が多孔性であるため、その孔に染料を染み込ませたものです。ただ、黒色は、砂糖水を染み込ませ、それを濃硫酸に付けて、脱水したものと聞いています。
注 ここで使った、玉髄、蛋白石等の言葉は、学術用語としてではありません。一般に、無意識に使っているままに、使っています。